台湾がIT先進国であることを身を持って体験しました。それにひきかえ日本は・・・。

よくIT先進国、デジタル先進国という言い方で国際ランキングが出されています。

日本は、アジアの近隣国と比べて低いランクにとどまっているようで、何が遅れていて何が足りないのかまでは、よくわかっていませんでした。

 

ところが最近、ある出来事を通じて、台湾が日本よりはるかにIT先進国であることを、身を持って体験しました。

 

その出来事ですが、私の祖父母のルーツ調べをしたことでわかったことです。

私は戦後生まれですので日本生まれですが、両親は、先の大戦まで台湾で生活をしていました。ですから私より上の3人の兄は全員台湾生まれです。

 

両親の台湾での生活や仕事などは母親から聞いて知ってしましたが、祖父母の代については、父方のほうしか知りません。なぜか母親は自分の両親のことを何一つ語らずにあの世に行ってしまったのです。

 

わずかに除籍扱いになった戸籍謄本は入手できましたので、これを手がかりにルーツ調べをすることにしました。

 

10年ほど前、横浜開港150年の節目になった2010年の年、その横浜開港の年である1860年元号で言うと万延元年が母方の祖父の生まれた年で、本籍地が横浜市弁天町ということを除籍謄本から知っていましたので「よし、弁天町とはどこなのか、現在は何か手がかりがないのか」といったところからルーツ探しを始めました。

 

その10年前には、横浜に何度か足を運んだことと、台湾関係の資料が整備されている「日台交流協会図書館」にずいぶん足を運び、いろいろ資料をあたってみましたが、結局、成果がなく一旦終わりにしました。

 

そして今年、気を取り直して再度、「日台交流協会」の資料をあたってみることにしたのですが、10年前にあった図書館は閉架式になって目録索引から推察して資料閲覧を希望する方式になり、結構難しいことになりました。

 

それでも二度ほど足を運び閲覧していると、職員の方が「実は台湾の資料館が日本統治時代の資料も公開していてネット検索で閲覧できますから、見てみませんか?」とアドバイスをくださいました。

 

「へぇー」と思いながら教えていただいたサイトを辿って、それらしいwebサイトで私の祖父の名前を入力してみると何と10数件ヒットしたではありませんか。

 

驚きました。日本の資料館で手作業で図書をめくってみつけられなかったものがネット検索、しかも台湾のサイトの検索で一発でヒットしたのです。

 

その後、細かく検索を繰り返して最終的には祖父が自ら書いた履歴書も残っていて、祖父がどういう履歴の人なのかを知ることができました。

 

いかがですか? お読みいただいた皆様もご納得ですよね。台湾では、事程左様にデータベース化が進んでいるのです。それにひきかえ日本はなんという情けなさでしょう。

例えば「官報」。ご存じのとおり公文書の中でもっともポピュラーな文書です。現在、ネット上で明治時代からの「官報」がすべて見られるところまでは整備されたようです。

 

しかし問題はその先です。日本では「官報」のページ単位にPDG化しているだけですから、その中に載っている私の祖父の名前までは見つけ出せません。けれども台湾では、その文書の一言一句すべてデジタル化していますので、私の祖父の名前で検索すれば、どの文書に載っているかがわかるようになっているのです。

 

すごい差です。日本がなぜそこまでしていないのかです。

菅内閣で創設されたデジタル担当大臣そして予定されている「デジタル庁」ができれば、どうなのでしょう?  「官報」は全面デジタル化になるのでしょうか?

 

私は、今回、祖父のルーツ調べをしてみて、私の祖先が台湾からの引揚者であることを大変幸運に思いました。

 

先の敗戦によって外地から引き揚げた人たちは、満州、朝鮮、台湾などがあったわけですが満州、朝鮮ではなく台湾であったことが幸運だったと思います。

 

なぜならルーツ探しをしたいと思っても、これが満州、朝鮮では、個人的にはどうにもならなかったでしょう。

台湾は国交こそないものの、日台交流協会を通じて大変オープンな形で情報交換ができることを、今回あらためて感じました。

 

現在、台湾有事が語られ「台湾有事は日本の有事であると認識すべし」と強く叫ばれています。

私たちは台湾を絶対見捨ててはなりませんし、むしろ台湾の独立と同盟関係の樹立に向けて長期的・大局的・戦略的に取り組む必要があります。

 

日本と台湾はそういう間柄なのだということを、声を大にしていきたいと思っています。台湾自体も、もはや中国の一部などという議論に与する勢力がごく少数派になっていることは明らかです。

日本自体が旗幟鮮明にする時期にきています。