家庭における規範意識の涵養、それには「家庭こども庁」の創設が必要だ

前回のブログで、BSフジ20時の「プライムニュース」に下村文科大臣が出席した時のことを書いた。
反町キャスターが「家庭における教育・躾についてはどう思われますか」と水を向けたが、下村大臣の答えは隔靴掻痒だった。
 
そこで私は考え込んでしまった。番組が設定した文科省の課題について、下村大臣が、長い文科政策経験をいかんなく発揮して次々と方向性を示していた中での対応だったので、あれっと思ったわけだ。
 
あれやこれやと考えてみて、私は、文科省は「家庭における教育・躾」についての所管があいまいなのではないかと感じた。
 
あらためて文科省の所管事項を点検してみた。
すると「生涯学習政策局」の中に「家庭の教育力の向上」という職務がある。しかし、職務内容を読むと、要するに家庭教育を応援しますというだけのもので、家庭で何を教えるべきか、何を躾けるべきか、そのためにどういう施策を講じるかという立場には立っていないようだ。
 
一方、文科省が主宰する「中央教育審議会」からは、「基本的な生活習慣・生活能力、豊かな情操、他人に対する思いやり、善悪の判断などの基本的倫理観、社会的なマナー、自制心や自立心など[生きる力]の基礎的な資質や能力は、家庭教育においてこそ培われるものとの認識に立ち、親がその責任を十分発揮することを望みたい」と答申されている。
 
どうも、家庭つまり親にどう責任を果たさせるか、そのために何をやっていくかについては所管していないということではないか。
 
現在の日本で家庭に関する二つの問題は、教育・躾の問題と子育て・少子化の問題だ。少子化担当大臣が任命されているが、この仕事も内閣府では手足がない。会議体を主宰するだけなのだろうか。
 
結局、この二つについて、官僚機構が、日々、どうすべきか、何を打ち出すべきかとその頭脳を働かせている状況ではないということだ。
 
私は提言する。家庭に関する二つの問題である教育・躾の問題と子育て・少子化の問題に一元的に取り組む仮称「家庭こども庁」を設置すべきだ。当然、官僚組織が肥大化することは避けなければならず、内閣府文科省など現在似た業務をしている省庁の仕事を整理統合することが条件だ。
 
仮称「家庭こども庁」を、どこの省庁にぶらさげるべきかは、もう少し精査が必要だが、感覚的には総理大臣直属という意味で内閣府にぶらさげるのがいいのではないかと思う。
 
この議論が、ぜひ大きなうねりになってくれればと願っている。