菅義偉元総理、あなたに頑張っていただくしか途がありません。

安倍元総理が暗殺されてから、失ったものの大きさが日に日に増してくるばかりです。

論壇は「日本は羅針盤を失い漂流してしまうかも知れない」と嘆いています。

確かに安倍さんのような、生まれながらの偉大な政治家の出自と資質を兼ね備えた人など、100年に一人の確率でしか巡り合えません。

だからといって、このあとも次から次へと押し寄せるであろう難しい日本の決断の時、時の最高責任者にいい加減なことをされてはたまったものではありません。

岸田さんが、何年、総理を務めることができるのか、まったく未知数ですが、財政規律の財務省代弁者である限り、少なくとも経済・財政運営に関しては、理にかなった決断は期待できません。

外交・安全保障、憲法改正といった問題で、安倍さんの遺志を引き継げるかどうかについても、何の手ごたえもありません。

私は、安倍さんが暗殺された日の書き込みで次のように叫びました。

「私は、このあと、安倍さんの屍を乗り越えるようにして、鬼気迫る信念で「私が安倍さんの遺志を継ぐ、何が何でもやり抜く」という政治家が出てくることを切に願っています。」

その時は「安倍さんの遺志を継げる人、それだけの信念と覚悟がある人はいると思っています。」とだけしか書けませんでした。

いわば「いて欲しい、誰もいないなんて思いたくない」という思いだけでした。

その後、3週間ほど経ちました。追悼誌には、心ある方の寄稿がいくつか見られます。その一つに菅義偉元総理の寄稿がありました。

タイトルは「安倍元総理の遺志を継ぎ私が日本を取り戻す」

そうです、そう覚悟を持って言い切ってくれる人はいたのです。

 

菅義偉元総理は、1度目の政権に失敗した安倍さんを、不退転の気持ちで説得して2度目の総裁選出馬に引っ張り出した方です。

菅さんは追悼誌の中でこう言っています「あの時は(安倍さんの)背中を押す、なんてものではありませんでした。「国のために絶対立ち上がるべきだ」「やるしかないじゃないですか」と言い続けて説き伏せました」

菅さんは、その時、誰にも止めることができないほどの熱情に突き動かされたのでしょう。「今、自分が安倍さんを立ち上がらせることができなければ、日本は滅びてしまう。安倍さんなら救ってくれる可能性がある」

この菅さんの行動があって、のちの安倍さんが形作られた、といっても過言ではありません。

歴史を動かす出来事というのが、時として一人の誰にも止められない程の熱情と行動力によって成されるのだと思わざるを得ません。

それは、まるで薩長同盟を成し遂げた坂本龍馬の熱情と行動力のようです。

その後、安倍政権を支え続けた官房長官としての菅さんの立ち振る舞いは、誰もが知っています。

一昨年、安倍さんが総理を辞任されたあとの後任も「菅さんしかいない」というまとまりでした。

菅さんのスピーチ力や、国民に与える親近感などは安倍さんとは比較にならないほど不利ですが、国として何を大切にしなければならないか、国としてどう対処すべきかといった、国家観については安倍さんと軌を一にする考え方の人です。

志半ばにして総理の座を去らなければならなかった無念さを胸の奥底に押し隠したまま、いま自分がやるべきことについて研鑽をつんでいるに違いありません。

菅さんという人は、こうと決めたら「死ぬ覚悟を持って」やり抜く不屈の人です。安倍さんの死によって、自分が残された人生でやるべきことがはっきりと定まったと思います。

追悼誌の最後に「私の再登板ですか? それは一切考えていません。絶対にあり得ないと断言します」と述べています。

まさに「再登板」などという話はご本人の口から出るはずもありませんし、聞くほうがバカだと思います。

大事なのは、いつ、どのタイミングで、つまり2012年8月に菅さんが蹶起したように「菅さん、国のために絶対立ち上がるべきだ」「やるしかないじゃないですか」と誰が蹶起するか、です。

あらためて明言しておきます。日本がこれから直面する難しい局面で、誤りのない舵取りができる人がいる場合、その人の年齢などまったく意味をなしません。菅さんは73歳とのことですが、バイデン大統領は79歳です。

少なくとも、あと5年以内に、その時が来た場合には、菅義偉元総理、あなたに頑張っていただくしか途がありません。

そのようにお伝えいたします。

その時が来たなら、2012年8月に菅さんが示した決意と行動力と同じような不退転の決意と行動力を持って、菅さんを促す人物が現れなければなりません。

私は、その人物を見定めることに専念しようと思います。