また短命内閣時代が再来してしまうのか

自民党総裁選まで、あと1週間となり9人の候補者の全国遊説が続いています。上位2人に入るのは誰かに注目が集まっていますが、にわかに心配になってきたのが、また短命内閣時代が来てしまうのか、という点です。

 

なにぶんにも現代の日本政治の不安定なことといったらありません。やっと第二次安倍内閣以降7年9ケ月、安定した政治情勢の中で世界をリードできる国を取り戻したかに思えた日本ですが、その後また不安定な兆しが見えてきて、この先、また短命内閣時代が来てしまうのではないかと不安が増しています。

 

よく引き合いに出されるのがアメリカ・クリントン大統領時代の日米同盟のカウンターパートナーである日本の総理の交代です。

クリントン大統領が就任したのが1993年1月20日です。その時日本の総理は宮澤さんでしたが、その年の5月に退陣すると、そのあとは次から次と総理が交代して、クリントン大統領が8年間の任期を終えた2001年1月、日本の総理は7人目の森さんでした。

 

これでは、国際政治の中での存在感もへったくれもありません。国際政治の中に日本が加わっていないも同然です。

 

その後も、似たような時期がありました。第一次安倍内閣が退陣した2007年(平成19年)9月から民主党の野田内閣が退陣した2012年12月までの5年3ケ月、6人の総理が入れ替わったのです。

 

もう、いい加減にしてほしいのですが、そうはうまく行かないものなのでしょうか?

およそ日本における総理大臣は、世界に伍して国を率い、国民の平和と繁栄を図るだけの国家観やリーダーとしての資質・能力を備えた人になって欲しいのは山々ですが、そうは簡単に行かないのです。

 

そもそも、どの人が、総理に相応しい国家観やリーダーとしての資質・能力を備えた人なのか、なかなか一般国民にはわからない上、国会議員の間でも評価が分かれて、なかなか一人の人に収れんしない難しさがあります。

 

その上、仮に総理に相応しい国家観やリーダーとしての資質・能力を備えた人がいて、首尾よく総理になったとしても、今度は政局という名の次々と訪れる修羅場を乗り切るのも容易なことではありませんし、内閣や与党の不祥事など、あるいは国難のような不測の事態を乗り切るのも難しいところがあります。

 

過去にある程度長期の政権を築いた総理大臣の場合、それぞれタイプが異なっています。戦後の総理では、吉田茂佐藤栄作中曽根康弘小泉純一郎安倍晋三の各総理が5年以上の政権を築いています。

吉田茂総理は、吉田学校と呼ばれる子飼いの官僚政治家を育てて内閣を固めたことで安定しました。

佐藤栄作総理は「人事の佐藤」と呼ばれる人材配置の妙で、ライバルの芽を摘みながら安定政権を築きました。

中曾根康弘総理は、闇将軍と呼ばれた田中角栄氏の威光を味方につける形で長期政権を維持しました。

小泉純一郎総理は「自民党をぶっ壊す」という分かり易いスタイルを貫き、国民的人気を維持しながら長期政権を築きました。

安倍晋三総理は、経済運営、国際政治のイシューについてタイミングよく国民に信を問う手法で選挙を勝ち抜き長期政権を築きました。

 

どの総理も、日本の政治システムを理解し尽くした上で、自分の場合どうすればいいのか、大局的な手を打てた人たちだと思います。

 

9人もの候補者が手をあげた総裁選、10年たってみたら8人とか9人、総理が次々と入れ替わったということのないようにだけはして欲しいものです。

それが心配で書き込みました。