日本人の美徳は「トランプ」なんぞに突き崩されはしないと思います。

今日、2016年12月23日の産経新聞朝刊「正論」は、社会学者・竹内洋先生の執筆で「美徳を突き崩す『トランプ現象』」というタイトルがつけられています。

氏の指摘では、これまで日本社会の秩序を下支えしてきたのは、「おてんとさまに恥じない」とか「まっとうな仕事をしている」ということを心の支えにしてきた草の根層、日本人の美徳といわれる「勤勉」や「真面目」「時間や約束を守る」「几帳面」などを支えてきた人々である。

そんな現代日本の民心を支える「マイルド堅気」の層が、アメリカ大統領選挙で、アメリカ庶民の不満や怒りが予想を覆してしまったことを見てしまった。

日本人の国民性調査では「まじめに努力していても報われない」と感じる人が増え、や政党政治についての調査でも「自国の政党に期待できない」と答える人が増えていて、不満や怒りの爆発に向かって黄信号がともりはじめている。

トランプ現象が、日本人の美徳の継承者であり、かつ日本の社会を下支えする「マイルド堅気」層の心に火をつけることになるかもしれない、と警鐘を鳴らして氏は執筆を結んでいます。

まさに正鵠を射たご指摘です。
この文を拝読したのは午前中でした。

そして夕方のニュース。今日は天皇誕生日です。皇居での一般参賀には平成最多の人々が訪れたそうです。
今年8月、陛下が「象徴としてのお務め」について「お言葉」を述べられ、いまさらながら国民は、陛下がご公務に対して、並々ならぬ責任感を持って日々努力を重ねられていることを知りました。

そして、両陛下が、それこそ日々黙々と暮らしている国民に寄り添い、励まし続けることを何よりも大切にされている、そのことも十二分に知っています。

私は午前中に読んだ竹内氏の論文と、夕方見た天皇誕生日一般参賀のニュースに思いを馳せ、「日本人の美徳はトランプなんぞに、そうやすやすと突き崩されはしません」という気持ちになりました。

日本人は両陛下をいただいています。両陛下の日々のおふるまいこそ「日本人の美徳の体現者」であり、いまだ多くの日本人は両陛下のお姿を拝見して「やはり、そういうふうに生きていくことが大切なのだ」「そう簡単に不満や怒りをぶちまけてはいけないのだ」と自らに言い聞かせていると思ったのです。

ただ、これにも「但し書き」が必要で、あくまで今上両陛下のお姿を拝見しているからです。言い換えれば、次の御代になっても日本人が「日本人の美徳」を持ち続けられるかどうかはわからないです。