「フォリー・ベルジェーヌの酒場にて」
「酒場にて」の部分を「バー」としている文献が多いのかも知れませんが、私は頑として「酒場にて」で行きます。
画家エドワール・マネの晩年の作品、英国ロンドン・コートールド美術館に所蔵されているこの絵が、私の知っている限り3度目の来日を果たしました。
同美術館に収蔵されていて、二枚看板のように、今回も来日したルノアールの「桟敷席」とともにです。
「フォリー・ベルジェーヌの酒場にて」
この絵が最初に来日したのは1984年だそうです。私は1980年か1982年頃だと思っていたのですが、gooブログの「東京でカラヴァッチョ 日記」さんのブログによれば、
高島屋百貨店が、おそらく日経新聞社とともにだと思いますが(この当時のことを詳細確認していないので、少し間違っているかも知れません)、呼んだと思います。
その当時、私はまだ地方都市住まいでしたから、東京・京都、大阪の高島屋でしか見れない「フォリー・ベルジェーヌの酒場にて」を見たい、見たいと悶々として3ケ月以上もしかしたら4ケ月以上、過ごしていました。
当時、見に行くには、まだ泊りがけでなければ行けませんはし、仕事もあり、遊んでもらいたい盛りの子供たちもいる中で、1枚あるいは2枚の絵を見るために、費用と時間を費やすのは容易なことではありませんでした。
そうしているうち、東京高島屋での展示会期は終了して、京都も終わり、最後の大阪に移り、その会期も少なくなってきた頃、私は意を決して、職場の上司に具体的な理由を話して休暇願いを出しました。
思えば、この時から上司は「こりゃダメだ、何を考えてるんだねコイツは」と思ったことでしょう。そのあとの私の人生も違ったものになったような気がしますから。
それはそれとして勇躍、休暇をとった私は、大阪・なんばにある高島屋に出かけました。恋焦がれた、その乙女に会える、その時の喜びはいまでも忘れられません。
ほの暗い展示室に浮かび上がった「フォリー・ベルジェーヌの酒場にて佇む乙女」に会い、本当に私は至福の喜びを味わいました。
当時、あまりお客さんがいない時代だったようです。私は10分、15分と好きなだけその絵の前にいられました。
そして、また、いつか見られるの、もう、あとはロンドンに出かける機会を作って見にいくしかないのか、などと思いを巡らせながら、大阪の旅を終えたのです。
次に見る機会に恵まれたのも、やはり高島屋の「ロンドン・コートールド美術館展」のおかけでした。それが何年前だったのか、全然手がかりがなかったのですが、さきほどご紹介した「東京でカラヴァッチョ 日記」さんのブログによれば、それは1997年暮れから1998年2月までの日本橋高島屋での展示会だったとのことです。